どのくらい泣き続けただろうか?
瞼が重い。頭もガンガンする。泣きすぎた証拠だ。
明日を待たないで私の瞼は腫れあがって、原型を失うだろう。
こんなに泣いたのは快晴の事故の日以来?いや、それよりも、もっと泣いたかもしれない。
あの時は快晴の死を認めてはいなかったから。ただただ悲しくて、苦しくて、痛くて泣いていたのだから。
でも、今は違う。
快晴の死を認めて、自分の本当の気持ちを認めて泣いた。だから、あの時とは違うはずだ。
抱きしめていたお墓から離れて、またしゃがんで『大津家』を見る。
はーっと深いため息が出た。
さすがに真冬にお墓にしがみついているのは寒い。ストールをしっかりと首に巻きなおした。
「スッキリしたか?」
後ろから突然声をかけられて驚いて振り返る。
征規と春那が立っていた。春那は言っていた通りにマフラーを巻いている。
「いつからいたの⁉」
あんなに泣きわめいている姿を見られていたなんて恥ずかしすぎる。
「いつからだっけ……?」
春那が首を傾げながら言った。
「結構、車の中で時間を潰していたんだけどな。コンビニ行ったりもしたし。でも、突然泣き叫ぶ声が聞こえてきたのにはビックリしたけど」
「なかなか泣き止む気配がなくて、私少しだけ寝そうになった。泣き声が止まりそうなくらいおさまってきたから戻ってきたけど」
春那の言葉に腕時計を見る。
どうやら私は二時間近く泣き続けていたらしい。
お墓を抱きしめていたのもあるだろうけれど、どうりで寒いわけだ。