子供でもこんなに大声を出して泣くことはないかもしれないっていうくらい、ワンワンと声を上げて泣き続けた。
人から見たら抱きしめているのはお墓だけれど、私は快晴を抱きしめている。奇妙に見えるかもしれない。幸い人はいないけれど。
でも、抱きしめずにはいられなかった。
「気持ちわりーな。なんだよ?こえーよ」
快晴はそう言うかもしれない。思っているかもしれない。
会いたかったから。会いたくなかったけれど、現実を見るのが怖かったけれど、本当は快晴に会って色んな話を聞いてほしかったから。
「親友」の快晴が大好きだから。今でも、これからも快晴だけが『親友』だから。
「快晴、生きててほしかった……遠くにいてもいいから生きててほしかったよ‼」
泣きながら言葉に出したのは心の底からの本音であり、叫びだ。
だって、快晴は言ったから。
『お前がアマゾンでワニに食われようが俺は助けにいく』って。
どこにいようが親友だから。
だから私も、快晴が北極で氷漬けになりそうになっていたらお湯をぶっかけに行くよ。助けにいくよ。だって私も快晴の親友だから。
お互いのSOSには誰よりも早く気づいて助けにいく。
でも、もう快晴はこの世にいない。
私が本当にアマゾンでワニに食べられそうになっても、助けには来られない。
そして、私も快晴が氷漬けになりそうになっても、お湯をぶっかけには行けない。
私たちは永遠に親友だけれど、もうお互いがいる世界は違う。
会えない。もう二度と。
毎年、歳を一つずつ取り続ける私。永遠に18歳の快晴。私がおばあちゃんになっても、快晴はずーっと高校三年生なのだ。