数日後、征規から「会いたい」と連絡がきた。征規と会うのは何か月ぶりだろうか。

 指定されたのは洋風の居酒屋で個室を予約しているようだった。
 席について、待っていると少し遅れて征規がきた。最後に会った時より少し髪が伸びている。

「呼び出して悪かったな」
 席に座りながら征規は言った。

「ううん。久しぶりだね」
 なんとか征規に笑いかける。

 きっと呼び出したのは快晴の三回忌のことだ。行かないつもりでいる私を征規は責めるだろう。だからぎこちない笑いしかできない。

「ま、久々だし、とりあえず飲もうぜ」
 征規は店員を呼んでビールを二つ頼んだ。

 私たちは成人した。お酒だって飲める。
 本当に時間が経つのは早い。

 ジョッキをぶつけて乾杯した。

「お前との付き合いも13年か。人生の半分以上お前との付き合いが続いているなんて気持ちわりーよな」
 そう言って征規はニカっと笑った。

 てっきり笑うような話ではないと思っていたから拍子抜けする。

「何よ。私だって征規とこんなに付き合い長くなるとは思わなかったよ。小中高同じクラスなんて、もう呪いとしか思えなかった」

「運命だったんじゃない?……って俺は雫に恋愛感情を一度も持てなかったけどな‼」

「お互い様です。なんだろ?兄妹?そんな感じとしか思えないわ」

「それは言えてるな」

 征規が爆笑して、私も笑った。

 しばらく小学生時代や中学時代の下らない話をした。空のジョッキが5個になる。

 あの時の征規はバカだったとか、私の初恋相手はかっこよくなかったとか、本当に下らない話をして笑いまくった。