「へー‼広告に応募するんだ」

 二か月ぶりに会った春那とカフェでお茶をしている。春那は長かった髪をバッサリと切ってボブになった。どんな髪形でも美人だから似合う。

 彼氏が出来なかったから髪を切りたいと高校卒業間近の時に言っていたけれど、快晴の葬儀のあと間もなく切った。春那の中で快晴に対する何か、決別なのかを意味して切ったのかもしれない。それから髪を伸ばす気配もない。

 もうすぐ冬になろうとしている。

 ホットのカフェオレを飲みながら、私はため息をついた。

「広告なんか私に作れるわけないよ」

「でも、広告メインのサークルにいるんだから、いくらなんでも作り方くらい覚えただろうよ」

 相変わらず口の悪さは変わらない春那。それでも、専門学校へ行ってから少しはマシになったらしい。そもそも春那は私と快晴と征規にしか素を見せていないから、きっと学校でも昔と変わらず『可愛い春那ちゃん』なのだと思う。

「作り方を覚えただけで、あんな大企業に応募するって無謀すぎるよ」

「そんなもんなのかねー?やれることやった方が経験値積めるからいいと思うけどね」
 そう言いながら、春那はケーキを口に運んだ。