葬儀が始まって、ぼんやりとしながら座っているけれど、頭の中では走馬灯のように快晴との出来事が流れる。

 最初は苦手で話しかけてもほとんど無視されて、征規の友達でなければ関わりたくもない。と思っていた。「ウザイ」ってラインも来た。

 私がお母さんに虐待を受けていることを見抜いて、みんなで一緒に解決してくれた。
『雫の勇気を馬鹿にするんじゃねー』とお母さんに怒ってくれた。

 もう壊れてしまっている涙腺から涙がまた止まらなく出てくる。涙は枯れたと思っていたけれど、まだ崩壊した涙腺から溢れるようだ。

『雫は親友』といってくれた言葉。
『いつかお互い大事な人が現れてら一番に紹介してほしいな』そう言って、笑った快晴。


 ねえ、快晴。

 快晴がそんな遠くに行ってしまったら、本当に大事な人が出来た時どうすればいい?

 紹介できないよ?

 征規や春那がいても、快晴も一緒にいなきゃ嫌だよ。
 私たちはどんな大人になるのかな?って想像していたばかりじゃない。
 

 辛い。
 辛いより痛い。
 辛い、苦しい、悲しいより痛いよ。


 こんな痛くてどうしよもない気持ちなら心に鍵をかけてしまおう。

 快晴のことは思わない日は一生ないだろうけれど、たくさんの思い出は鍵をかけて心の奥にしまっておこう。もう出てこないように。

 だって、それじゃなきゃ私はこれからの人生を進めないから。

 だから閉まってしっかり鍵をかけることに決めた。

 18歳。
 身内の死も悲しいけれど、親友を失うことは悲しいじゃなくて痛いと知った。

 もう永遠に私のそばで笑ってくれる親友はいない。

 心に鍵をして出てこられないようにすると決めた。

 それじゃなきゃ私はきっと、立っていることすらできないから。