快晴の葬儀の日も雨。
高校のクラスメイトたちも参列している。
遺影の快晴は珍しく笑顔だ。
仏頂面の快晴とは思えない。
この写真は姪っ子さんと一緒に映して、快晴にしては珍しい笑顔なのだとお姉さんが言っていた。
そうだった。
快晴が私の家の問題を目の当たりにした時、姪っ子さんに会いに行く途中だったと言っていた。
きっとすごく可愛がっていたんだろうな。
そうじゃなきゃ、あんなに楽しそうな笑顔なんかできない。
葬儀には九州からお父さんも来た。杏奈も連れて。
葬儀が始まる前にお父さんと杏奈と少し話をした。
杏奈は優しくしてもらった快晴が亡くなったことに酷くショックを受けていて、泣いていた。
「うちの問題を真剣に考えて、雫のことを一番に考えてくれたからお父さんもすごく悲しいし、悔しいな」
お父さんはそう呟きながら、ポケットから封筒を出した。
「なにこれ?」
私はあれから心が止まってしまったようで、あまり話をしない。出る声は掠れてしまっているご飯も食べたくないし、グッスリと眠ることさえできない。涙すら出ない。春那もかなり無口にはなったけれど。
「お母さんに快晴くんのことを知らせた。これを雫に渡してほしいと手紙を送ってきた」
封筒を開けると、懐かしいお母さんの文字があった。便箋の真ん中に数行だけ書いてある。
『雫。今、あなたの心に降る雨はいつか必ず上がって虹が出ます。私があなたの本音を聞いた日に、少しだけ和解できた日に、空に虹が出たように。だから必ず虹はでるから。それを信じて下さい。今はたくさん泣いたっていいから。 母より 』
私の心は晴れる日がくるのだろうか?
お母さんがいう虹が出る日はくるのだろうか?