昨日から冬だっていうのに、気温が少し高くて雨が降っている。
卒業式の準備くらいしか学校に行かなくなったから、1年以上お世話になった春那の家で与えてもらった私の部屋を片付けている。
大学は九州ではなく、この街にあるところを何校が受験しているから、3月の半ばからは一人暮らしをする。受験が終わってすぐにお父さんが来て、部屋を探して決めてある。受けた数校のどこでもそこまで通学に不便ではない場所。
私以外は実家からの通学だから、たまり場になりそうな気も少しするけれど……。学校がみんな違うから、私の部屋で集まれるならそれは少し楽しいのかもしれない。
大学に入ったら、バイトをいっぱいして、車の免許を取って、自分の車もほしい。車で通学の許可がある大学しか受けていないのと、免許さえあれば妹の杏奈を色んな場所へ連れて行けるかな?と思っている。
小さい頃に行きたいと言った海にも、山にも行けるのではないだろうか?
快晴たちとみんなでドライブも楽しそう。快晴も征規も確か教習所に申し込んだと言っていた。
春那は免許はいらないと言っていたけれど、三人も運転できる人間がいるのだから、うんと遠いところに旅行にでも行きたい。
今日は確か快晴が受験した大学の合格発表だ。
同じ日が受験日だったけれど、快晴の大学は私たちの中で一番合否が早い。
今はパソコンに受験番号を入れたら合否がわかるのが普通だけれど、快晴の大学はそれと合格発表が学校前に張り出されるらしい。
自分の目で合否をしっかり見たいという昔ながらの伝統も守っているようだ。
快晴は大学に発表を見に行くと言っていた。
「落ちてたら立ち直れないから怖いんだろ?」
征規が言ったけれど、
「落ちるわけねーもん。合格ライン超余裕でA判定だから」
ふんっと鼻で笑いながら言っていた。
地味に快晴は頭がいい方だ。
そろそろお昼近くなるから、快晴が結果を連絡してくるのかな?
そう思いながらダンボールに荷物を積めていた。