そこまで話をして、私は息をついた。

 春那は驚きで口に手を当てたまま無言になっている。

 快晴は黙って下を向いていて、征規だけが私をジッと見ていた。

「そんなこと知らなかった」
 征規が言った。

「そりゃあ誰にも言っていないから知るわけがないじゃない」
 私がそう言っても、征規は首を振った。

「雫とは幼馴染で7歳から知っているのに、おばさんのことも、よく知ってるし、優しそうだと思ってた。杏奈ちゃんが生まれたのだってもちろんだし。杏奈ちゃんが病弱らしいってこともなんとなくだけど知っていた。でも、雫が……もうそれは、八つ当たりの度超えてるんじゃないのか?おばさんの気分で怒鳴られたり謝られたり。そんな目に遭っているなんて知らなかった。お前は学校では普通だったし、ちゃんと笑っていたし、だから俺は知らなかった自分に腹が立つ」

「別に征規が自分を責める理由なんかないよ。私は征規とずっと友達でいられることが嬉しかったよ?それは今でも変わらないよ?」

「快晴は知っていたの?私には快晴は実は何かを知っていたように見える」
 春那が言うと、快晴は軽く頷いた。

「詳しくは知らない。でも、雫にも言ったけど、俺はたまたま妹を迎えに行った雫を見て、そこに母親もいたから、上手く言えないけど、何かおかしい、何かが異常だってことに気が付いただけだ」

「そうなんだ……私も征規と同じで友達だったのに、実は何か悩んでいるかもしれないと思っていたのに、どうした?何か悩んでるの?って声をかけてあげられなかったことが悔しい」
 春那はそうつぶやいた。

「まだ続きはあるんだろ?それだけじゃないんだろ?」
 快晴に言われて私はまた話し始めた。