春那の部屋は女の子の部屋にしてはさっぱりとしている。可愛い物が全くない。
 春那が好きだと言っていたバンドのフライヤーが何枚か壁に貼ってある。

 飲み物とお菓子を適当に机替わりにしているのだろうテーブルに乗せた。

「腹が減ったらコンビニに何か買いに行けばいいよね?」
 春那はそう言って、ベッドに腰をかけた。

 みんなテーブルの周りに各々座って、無言でお茶やジュースのペットボトルを取って、お菓子の袋を開けている。お菓子は征規だけれど。

 私は春那の隣に座って、何から話せばいいのか考えている。長い話になりそうだけれど、簡潔に話した方がいいのか。でも私の頭では私の出来事を簡潔に話せる国語能力はない。
 私が手をギュっと握りしめていると、お茶のペットボトルを春那がジーンズの膝に置いた。

「どうやって上手く話そうとか、考えなくていい。お前に起こっていること、お前がどう考えているかを順番も滅茶苦茶でもいいから話してくれればそれでいいよ」
 快晴が言った。

 私に起きている出来事と私の気持ち……。

 頷いてから私は口を開いた。