近くのコンビニで待っていろと春那に言われて、待っていると車のクラクションが鳴る。

 誰が乗っているのかライトで見えなかったけれど、「雫‼」と助手席から春那が顔を出しながら呼んだ。

 車に近づくと、運転席には春那にそっくりなイケメンがいた。

「兄貴だよ。事情を説明して車を出してもらった。乗って」

 お兄さんに「すみません」と頭を下げて後部席に乗る。

「別に構わないよー」
 と春那とは違い優しい声で返事がきた。

 車が出発すると、春那は電話をかけはじめた。
「征規?そう、今、雫を確保した。あと十分でそっちに着くから。……うん、見た目は大丈夫。じゃあよろしくね」

「征規?なんで征規に電話してるの?」
 私の問いを無視してまた電話をかけている。

「もしもし?雫の確保完了。うん……、征規を今から拾うから快晴の家には三十分以内で着くはずだから。近くなったらまた電話する」

「快晴も?征規と快晴を呼ぶの?こんな時間に?……って私も春那を呼んでしまったけど、なんで?」

 春那は助手席からこっちを見ながら言った。
「雫のSOSは全員で聞いて考えなきゃいけないと思う。私一人では何もできないかもしれないけど、みんなで考えたらきっと答えは出ると思うから。今日はみんな、うちに泊まってもらう」

「泊まるって、快晴と征規は男の子だよ?春那の家に泊まるって大丈夫なの?」

 私の言葉に春那が爆笑した。

「うちね、兄貴が二人もいるんだよ。この兄貴は二番目ね。そんな家だから男の子なんてしょっちゅう来るし、泊まっていくし気にしなくていいから」

「雫ちゃんだっけ?本当に気にしなくていいから。キミのSOSは君たち全員が聞くべきだと俺も思うよ?もしも大人が必要になれば、俺は成人しているけど、まだ大学生だから。長男は社会人だし、長男に頼ればいい問題だからね」
 春那の言葉のあとをお兄さんが続けた。