まっすぐ前を見つめる鳴は、すごく悲しそうだった。




「だが、菜穂に恋人ができたと聞いた時はショックであったと同時に安心もしたよ」



「安心?なんで……」



「私は、好きな人のことを不幸せになんてしたくない。もちろん、柚夏のこともな」



 鳴は、あたしの頭を撫でた手で、今度はギュッと手を握ってきた。

 その仕草と言葉に、あたしはどきりとする。まるで、あたしが言った「好き」の意味を正しく理解しているような……




「え……もしかして、あたしの気持ち」



「薄々と。私が菜穂に向けるのと同じような目をしていたから」



「そっか……」




 バレていたのか。そっか、あたし昔からそんな隠し事得意じゃないしなあ。