それから数日、傍から見ればあたしたちは特に変わった様子もなく日々を過ごしていただろう。


 だけどあたしは、ふとした瞬間見せる、鳴の辛そうな表情が気になって仕方なかった。見るたびに心がチクリとする。



 ある日の休み時間。あたしはとうとう堪えきれずに、鳴に一通のメールを送った。



『昼休み、美術準備室でお弁当一緒に食べない?』



 了解、という2文字だけのシンプルな文面が、すぐに返ってきた。


 キラキラ可愛らしい絵文字を使うのが好きなあたしや奈穂とは違い、鳴はいつもシンプルで要件だけをまとめたメールをする。

 そんなメールに、あたしはいつもどれだけ心を踊らせていただろう。



 4限目の授業が少し早く終わったので、あたしはひと足早く美術準備室へ行った。

 ほおづえをつきながらぼんやりと外に目を向けていると、10分ほどして鳴が来た。