この美術準備室は、美術部員がほぼいないのをいい事に、あたし達が占領し続けている。
みんなクラスはバラバラだけど、放課後はこうやって三人集まり、二時間ぐらいお菓子を食べながらお話するのが日課だ。
「でもさ、柚のクラスの先生、いつもホームルーム短いのに珍しいよね」
「うん……ホームルームはすぐ終わったんだけど…その、ちょっと呼び出されちゃって」
「あ、わかった!また告白だ」
「まあ……」
「ふうん、相変わらずモテますなあ。柚は」
「で、でもすぐ断ったし」
奈穂は言い淀むあたしを見てすぐ察したらしく、ニヤリと笑う。
そんな奈穂に答えながら、あたしはこっそり鳴の顔をうかがう。