由伊は何も云わない。

 あたしも、訊かない。



 由伊が闇にまぎれる夜、どこかで誰かの命が細る。

 ひとが、飢えては生きてゆけないように、

 それがあたし達の摂理。

 
 だからあたしはずっと知らないふり。

 この命がなにで出来てても、

 あたしはあたし。


 そして、由伊は由伊。