「彩葉さまの助言もあり平穏な日が訪れましたが、そうすると荒んでいた月の世から多数のあやかしたちが陽の世に移ってくるようになりました。月の世はこちらとは異なり、現世のお金のようなものが存在します。黒爛は国中のあやかしから上納させる形をとっておりましたので、あやかしが減るのは困るのです」


黒爛は白蓮さんが邪魔で……でも力を増した彼には敵わないので、まずは私を手にかけてその力を弱めようとしたのか。


「しかも黒爛は、あわよくば陽の世も自分が支配したいと考えておりました。というのも、天照大御神のご加護で陽の世は作物が豊富に取れるからです。反対に月の世は、作物があまり収穫できずに貧しい暮らしをしているものもいます。それでは上納金もたいしてないですからね」


なんて身勝手なあやかしなのだろう。


「月の世のあやかしたちが不憫ですね」