「黒爛に殺されたと聞きましたが……」
「……そう、ですね。白蓮さまが彩葉さまを娶られてあやかしに敵なしの状態となられ、様々なところで勃発していた争いごとが治まりました。白蓮さまに刃を向けるのが無謀だとどのあやかしも知っていましたらね」


それほど強いとは。


「とはいえ、白蓮さまは自分のことより陽の世のあやかしたちのために動く方ですから、特に反発も起こりませんでした。それに今のように自分で街や村々に足を向け、不満に自ら耳を傾けられる方ですので、皆慕っているのです」
「ずいぶん行動力のある方なんですね……」


現世では、一番上に立つ人は指示を出すだけの人が多いのに。


「はい。ですがそうするように助言なさったのは彩葉さまなのですよ。上からものを見ていてもなにもわからない。同じ目線に立ってこそ苦しみを理解できると」
「そんなことが……」


前世の私は立派な考えの持ち主だったらしい。