「ということで、雪那は掃除だ。和花と勘介は片づけを。彩葉さまはお部屋までお送りします」


送ってもらわなくてもひとりで行けるよ?と思ったけれど、彼が強い眼力で私を見つめているで、ハッと気づいた。
雪那さんから逃げたいのだと。


「そ、それじゃあお願いしようかな……」


そう返事をすると、鬼童丸さんがこっそりと安堵のため息を漏らし、雪那さんは私をギロリとにらんだ。

なんだか私、貧乏くじひいてない?

とはいえ、鬼童丸さんの顔が必死で、断ることはできなかった。


ふたりで並んで廊下を歩き始めると、鬼童丸さんが口を開く。


「助かりました」
「雪那さんのお気持ちはわかっているんですよね?」
「そりゃあ……」


ついさっき会ったばかりの私がひしひしと感じているのだから、わからないわけがないか。


「受け入れる気はないということですか?」
「ちょーっと苦手なタイプと言いますか……。二百五十年ほど前に気持ちを伝えられてから、何度も断りは入れているんですよ」
「二百五十年も?」


断られても二百五十年もアタックし続けているということ?
見上げた根性だ。