「彩葉の警護は仕事だ。雪那は宿の掃除を頼んだぞ」


白蓮さんが命令を下すと、雪那さんは「はい」と肩を落している。

黒爛も怖いけれど、女の嫉妬も相当怖い。


「心配するな。彩葉は俺のものだ」


雪那さんを見た白蓮さんがそう言い放つので、軽く固まった。

だから、そういう発言はやめて!


「彩葉はまだ病み上がりなのだから、片付けは和花と勘介に任せて部屋で休め」
「……はい」
「鬼童丸、あとは頼むぞ」


言いたいことを全部吐き出した白蓮さんは部屋を出ていく。


「丸投げしていった……」


ボソリとつぶやいたのは鬼童丸さんだ。

彼は白蓮さんの『彩葉は俺のものだ』宣言のおかげで笑顔を取り戻した雪那さんが、うれしそうに彼の腕につかまったのを、さりげなく解いていた。