「わかりました」


そんな会話が終わった頃には、大皿がすっからかんになった。


「はー、食べすぎました」
「大丈夫? お腹壊すまで食べたらダメよ?」


勘介くんのお腹が本当にはちきれそうで心配になる。


「うまかったから仕方ないさ」


鬼童丸さんが勘介くんに「な?」と同意を求めると、「はい!」と大きな返事。

やはり料理は楽しい。
しかも食べて「うまい」と言ってもらえるのはなおさらだ。

祖母が亡くなって沈んでばかりだったが、久しぶりに温かいものが心になだれ込んできた。


それに、しばらく味もわからなかったのに、ポン酢のおかげでさっぱり仕上がっているあんかけおこげの味はしっかり感じた。


「俺は少し街に行ってくる」


食べ終わったあと立ち上がった白蓮さんは、鬼童丸さんに告げている。


「それでは私も」
「いや、お前は彩葉のそばにいてくれ」
「は?」


あからさまに嫌そうな反応をしたのは、鬼童丸さんではなく雪那さん。