雪那さんは鬼童丸さんの分だけせっせと大皿からよそうので、彼が苦笑している。
それにしても、大胆すぎるアピールにあっぱれだ。
「まさか失敗作がよみがえるとは。本当にうまい」
その鬼童丸さんが盛んに感心するたび、雪那さんの眉間にシワが寄るのが気になって仕方ない。
褒められるのは大歓迎だが、彼女の前ではほどほどにしてほしい。
「彩葉さま、腕を上げられたのでは? 塩加減も絶妙です」
和花さんも、大男たちに負けず劣らずパクパクと口に運んでいる。
「和花はしょっぱいか味がないかどっちかだもんねぇ。どうして中間がないのかいつも不思議で」
「うるさいな。自分で作ってみなさいよ!」
和花さんが勘介くんに言い返している。
「勘介。和花だって一生懸命作っているんだ。和花。彩葉に料理を教わりなさい。ただお前は覚えが悪いから、何度も繰り返して体に叩き込め」
白蓮さんが和花さんをかばう発言をしている。やはり優しい。