「抱きついてません! 白蓮さんが私の腕を引いたんでしょ?」


まるで私から腕に飛び込んだかのようなことを言われ、顔から火が噴きそうなほど恥ずかしい。


「あぁ、そうか。癖で悪いな」
「癖?」
「そうだ。昔のお前は俺の懐が好きでな。毎日同じ布団で抱きしめて眠ったものだ」


あぁ、余計なことを聞かなければよかった。

頭から足の先まで真っ赤に染まっている自信があり部屋を飛び出すと、「あはは」という白蓮さんの笑い声が聞こえてきた。


「なんなの、もう……」


ぶつくさ文句を言いながら皆が集まる部屋に戻れば、全員の視線が突き刺さる。


「もういいんですか?」
「はいっ?」


鬼童丸さんに尋ねられ、すっとんきょうな声が漏れた。


「いえ、白蓮さまとの戯れは、もういいのかと思いまして」


隣でにこにこしている勘介くんが話してしまったようだ。
しかも戯れなどと言われては、赤面せずにはいられない。