「はい。お口に合うかどうか……」
「合うに決まっています!」


食べる前から断言されて、よほど前世の私の料理がおいしかったか、もしくは日々の料理がちょっと……なのかと思った。


「鬼童丸さま!」


私たちの間に割って入ってきたのは雪那さんだ。
さりげなく私の足を踏んだのは、女の嫉妬というやつだろう。


「あぁ、雪那。こちらは彩葉さまだ」
「先ほどお会いしましたわ。仲良くしましょうって話していたんです」


いやいやいや。
それは私が提案したのであって、あなたはかなりケンカ腰だったよ?


「それはいい。彩葉さまはまだ慣れていらっしゃらないから頼んだぞ」
「もちろんです。お任せください」


彼女は鬼童丸さんに満面の笑みでそう言ったあと、チラッと私を振り返り、無表情に戻った。

ちょっと怖いんですけど!

そんなあからさまに敵視しなくても……。

鬼童丸さんはたしかにいい男だけど初対面だし、私は別のあやかしから求婚されているのよ?


「皆で食べるとは楽しそうだ。白蓮さまは?」
「さっき障子越しに声をかけたのですが、もしかしたら寝ていらっしゃるのかも」


鬼童丸さんの質問に和花さんが答える。

やはり私のせいで睡眠不足なの?
そうだとしたら申し訳ない。