「あ、ありがとうございます。ご心配をおかけしました」


私に手をかけたのはあやかしなのに、同じあやかしに生きていることを感動されるのが不思議な感覚だったが、人間だっていい人もいれば悪人もいる。
それと同じだと悟った。


「これでようやく白蓮さまも眠ってくださる」
「眠る?」
「はい。彩葉さまが毒にあたられて意識を失くされてから五日。毎晩片時も離れずに看病なさっていましたからね。いくら九尾とはいえ、睡眠をまったくとらないでは生きてはいけません。いつ倒れるかと冷や冷やしておりました……」


鬼童丸さんの返事に驚嘆した。

五日も臥せっていたとは。せいぜい一、二日かと思っていた。

それに、まさか白蓮さんがそこまで献身的に看病してくれたとは知らなかった。


「これは……彩葉さまが作ってくださったのですか?」


おこげのあんかけを見つけた鬼童丸さんの目が輝くので、他にもなにか作ればよかったと後悔したほどだ。