和花さんは大皿に積まれたおこげをいったん大きな調理台に戻し、首を傾げている。
「あんかけにしましょう。おこげが食べたくてわざと作る人もいるんですよ。捨てるなんてもったいない」
白蓮さんは現世にあるものは大体そろっていると言っていたが、調理器具は別のようだ。
大きなかまどには釜が設置されていて、薪がくべられている。
あれでご飯を炊いたのだろう。
電気がないのか……。
そういえばさっきの部屋には行灯らしきものはあったけれど、電気の照明器具のようなものはなかった。
「あんかけとは?」
「お野菜、なにがある?」
「こちらです」
和花さんは大きな木箱を指さすので覗くと、新鮮な野菜がわんさか入っている。
「うわー、大きな白菜。小松菜もいいわよね」
私はあんかけに使えそうな野菜をいくつかチョイスして取り出し、調理台に置く。
「お肉もある?」
「それはこちらに」