「はい。本来は海に住み、漁師たちに雨や嵐を伝えるのが仕事でした。でも、漁師の乗る船に、こう、ガツーンと」
「ん?」


勘介くんが握った両手を体の前でぶつける。


「ガツーンって、まさかぶつかったの?」
「えへへ。そんなところです。で、海は嫌になってこちらに」


結構おっちょこちょいなのかしら。
でも船にぶつかって無事なのがすごいけど。


「そう……」


あまりいい思い出ではなさそうなので、それ以上突っ込むのはやめておこう。


「和花さんは?」
「和花は化け猫です。猫として生まれてきたのですが人間に虐待されて、化け猫に。で、私がここに来るずっと前に、悪さばかりしていたところを白蓮さまに拾われたそうでこちらで働いているのですが、なにせ不器用で」


船にぶつかる勘介くんも大きなことは言えない気がしたが、これまた黙っておいた。