廊下の格子窓からふと外を見ると、遠くの山々が見渡せる。
まるで空の上に立っているみたいだ。
私は窓に近づいて、外をよく観察した。
「街がある……」
どうやらここは小高い丘の上に建っていて、眼下には街らしきものが広がっている。
「あちらは陽の世で一番賑わっている街です。あそこ行くといろいろなものが手に入りますが、彩葉さまはしばらく外には出さないようにと言われておりますので」
行ってみることも叶わないということらしい。
まあ黒爛に襲われたばかりなので、外に出たいとは思えないのでいいのだけれど。
「こっちは?」
この建物から少し下りたところにも大きな建物がある。
「あそこは白蓮さまの臣下が寝泊まりしています別館です。白蓮さまに忠誠を誓い、陽の世を守っているあやかしたちです。白蓮さまのひと言で動きます」
「へぇー」
白蓮さんって本当にすごいあやかしなんだ。
「忠誠を誓うってすごいのね」