ふぅ、とあきれたようなため息をつく白蓮さんは「これだから」とぶつくさつぶやいている。

どうやら和花さんというあやかしが別にいるようだ。


「なにを作ってくれてたの?」


私が口を挟むと、勘介くんはキラキラした笑顔で自慢げに「ご飯です!」と答える。


「ご飯って、白いご飯のこと?」


それともおかずも含めた総称?


「はいっ。おかずはこれからです」


ご飯を炊くのを失敗したということ?


「ここには彩葉のような料理上手はいないんだ。毎日この調子だ」


白蓮さんの発言に目が飛び出しそうになった。
毎日? 


「私、作りましょうか?」


頭痛が治まったからか、体のだるさもすっかり抜けている。


「でも、まだ病み上がりじゃないか」
「動いていたほうが元気になれそうです。ずっと寝ていると気持ちも上がらないので」
「本当か! 助かる!」


膝をパンと叩いた白蓮さんの笑顔が今までで一番まぶしく感じた。