吐き出さずに飲んだからか、勘介くんが拍手までくれる。
しかし彼の着物の袖から見覚えのある箱が転げ落ちたことに気づいた。
「勘介くん、それ……」
「あっ、忘れてました。鬼童丸さまが現世の薬というものもあるから、白蓮さまにお渡しするようにと」
彼がようやく白蓮さんに手渡したのは、よく行く薬局で売っている鎮痛剤だ。
しかも粉ではなく錠剤の。
それがあるなら、それでよかったでしょ?
「嘘……」
軽くショックを受けて布団に倒れ込む。
「彩葉さま、調子がお悪いのですか?」
「大丈夫。でも次はそっちのお薬をください」
勘介くんがイジワルをしたわけではないことはわかっているので責められなかった。
キョトンとしてうなずいた彼が部屋から出ていくと、白蓮さんが肩を震わせている。
「人間の薬というものは苦くないらしいな」
「知っていたんですか?」