「治ってきました。大丈夫です」
「勘介みたいなことを言うな。あいつはいつも薬を飲むのが嫌でそうやって逃げる」
飲むのが嫌だと気づかれている?
「本当です。もう大丈夫ですから」
「なるほどな。もう幼い子供ではないのに苦いものを飲みたくないのか。勘介でも我慢して飲むというのになぁ」
「なっ……」
こんな言い方をされたら、飲まざるを得ないでしょう?
「わ、わかりました」
ウドならば体に悪いということはないだろう。
私は覚悟を決めた。
勘介くんはすぐに戻ってきて、薬包に包まれた薬と水を白蓮さんに手渡す。
「彩葉さま、これを飲まれるんですね」
そしてなぜ泣き出しそうな顔をしているのが不思議だ。
「そうみたいだけど、その彩葉さまっていうのはちょっと……。せめて彩葉さんでどうかな?」
〝さま〟をつけられて呼ばれたことがないので、どうにも慣れない。
しかもそんな立派な人間でもない。