前世なるものがあることも信じきれていないし、白蓮さんがあやかしだと知っていて嫁ぐ度胸があったのも信じられない。

そもそも、ここが幽世だということも定かではない。

ひとつ疑いだしたら、すべてが嘘に思えるのだ。


もっと順序だてていろいろ理解したいのに、頭が痛くなってきた。


「どうした? つらいか?」


ほんの一瞬顔をしかめただけなのに、彼は身を乗り出してきて過保護なほどの心配を見せる。


「頭がちょっと痛くて」
「勘介」


彼はすぐに勘介くんを呼んでいる。
するとバタバタと足音がして勘介くんが顔を出した。


「鬼童丸(きどうまる)に独活(どっかつ)をもらってこい」
「かしこまりました」


勘介くんは指示を受けてブーメランのように戻っていった。


「独活?」
「痛みに効く薬だ。ウドの根茎を乾燥させて粉末にしたものになる」


そのアヤシイ薬を飲めと? 
しかも鬼童丸って誰?