「いや。俺はこれからもっとひどいことを言う」
「は?」
そんな前置きは聞いたことがない。
「聞きたくないです」
「そういうわけにはいかない」
一応抵抗してみたが、彼も断固拒否らしい。
〝もっと〟ってどれくらい? 私、耐えられる?
生唾を飲み込み、膝の上の手を握りしめ、私も傷つけたのだから仕方がないと覚悟を決めた。
すると白蓮さんは神妙な面持ちで私を見つめ、口を開いた。
「黒爛は彩葉がどれだけ俺とは関係がないと主張しても、命を狙ってくるはずだ。あいつにとってひとりの命の重さなど、吹いたら飛んでいくほど軽いもの。彩葉が俺に嫁ぐ気がなかったとしても、念のためにと手をかけるだろう」
「そんな……」
自分のまったく知らないところで勝手な思惑が動いていて気分が悪い。
しかも、生きるか死ぬかという一大事なのだからなおさらだ。
「ここにいれば守ってやれる」
「だからって嫁入りなんて……」