離れるべきだと考えて、しかしどうすればいいかわからず布団に潜ったのに、あっさりめくられてしまった。
「なにしてる?」
「私、疫病神なんですよ。そばにいたら白蓮さんのせっかくの力が減少してしまいます」
思ったことをそのままぶつけると、彼は呆れ顔で首を横に振っている。
「布団を被ったくらいでどうにかなると思っているのか?」
一応気を使ったのに、そんなにバカにした言い方をしなくたっていいでしょ?
「それに俺は今、力がみなぎっていくのを感じているが?」
「嘘……」
「嘘ではない。彩葉、俺の目を見て」
促されて視線を向けるとあまりに真摯な眼差しとぶつかり、心臓が意思とは関係なく鼓動を速める。
しかし彼は気にする様子もなくそのまま話を続ける。
「彩葉がそばにいることほど、幸せなことはない。俺はこのときを待ちわびていたのだ」
本当、に?
私を待ちわびている人、いやあやかしがいるなんて信じられない。
けれど、彼の目は嘘をついているようにも見えなかった。