陽の世の頂点に立つ威厳ある妖狐がこんなに情けない姿をすることを、他にも誰か知っているのだろうか。
「お前、俺の力が抜けるのを楽しんでないか?」
「ふふふ。わかります?」
「チッ。離れろ。……あぁ」
威勢のいい言葉を発しているくせして、私が尻尾をゆっくり撫でると、たちまち鼻から抜けるようなちょっぴり色っぽいため息を漏らすのがおかしい。
「白蓮さん、ありがとうございます。私、この尻尾のおかげで……。ううん、白蓮さんのおかげでこれからも前向きに生きていけそうです」
「もちろんだ。お前は俺とずっと生きていくんだぞ」
心なしか頬が赤らんでいる彼は、優しい眼差しで私を見つめる。
そして、もふもふの尻尾をふわりと動かし、私をぐるりと取り囲んだ。
大切なものを包み込むように、そっと。
【完】
「お前、俺の力が抜けるのを楽しんでないか?」
「ふふふ。わかります?」
「チッ。離れろ。……あぁ」
威勢のいい言葉を発しているくせして、私が尻尾をゆっくり撫でると、たちまち鼻から抜けるようなちょっぴり色っぽいため息を漏らすのがおかしい。
「白蓮さん、ありがとうございます。私、この尻尾のおかげで……。ううん、白蓮さんのおかげでこれからも前向きに生きていけそうです」
「もちろんだ。お前は俺とずっと生きていくんだぞ」
心なしか頬が赤らんでいる彼は、優しい眼差しで私を見つめる。
そして、もふもふの尻尾をふわりと動かし、私をぐるりと取り囲んだ。
大切なものを包み込むように、そっと。
【完】