「だって、本当に心地いいんです。毛並みのそろったふかふかの尻尾」
「あぁ、もうわかった」
彼は観念して尻尾を出してみせた。セットでかわいい耳も。
「好きにしろ」
「はーい。好きにします!」
私は思いきり尻尾に向かってダイブした。
「あぁっ……」
するといつものように彼の口から声が漏れる。
しかも、ピンと立っていた耳までふにゃりと折れることを私は知っている。
「はー、気持ちいい。これこれ」
私は毛並みを確かめるように何度も手を往復させて撫でた。
「おいっ、ソフトタッチはやめろと言っただろ。握るならもっと強く……はぁっ」
頬をすりすりすると、彼は完全に腰が砕けた。