こうして忙しくしていると、祖母を亡くしたショックからも立ち直ってきた気がする。
手持ち無沙汰だと、気も紛れないのだ。
「そうか。活躍してくれている褒美をやりたいくらいなんだが、俺はなにも持っていなくて……」
持っているじゃない。広くて温かな心を。
それに救われているあやかしがきっとたくさんいるはずだ。もちろん私も。
「なにか欲しいものがあれば、現世に手に入れに向かわせるぞ」
それを聞いていてひらめいた。
「欲しいものがひとつだけあります」
「なんだ?」
「白蓮さんの尻尾!」
私が意気揚々とねだると、彼は目を真ん丸にしている。
「尻尾? そんなものが褒美?」
「はい。私にとっては一番大切なものですよ」
「まったく。どうして尻尾限定なんだ」
彼は呆れ顔。
〝尻尾ではなく俺にしろ〟と顔に書いてあるが、それは気づかなかったことにしよう。