晩ご飯のメニューはもちろん茶碗蒸し。
桜庵でも出していたので、コツはわかっている。
中身は海老と鶏肉、そして椎茸に三つ葉。超定番の茶碗蒸しだ。
たまごに対してだし汁はその三倍から四倍くらい。今回は個人的な私の好みで三倍ほどにした。
器に注ぐときは静かに。
そしてできてしまった泡は丁寧に潰す。
蒸し器がないので鍋で作ることになったが、ふきんで包んだ蓋をきっちり閉めて加熱する。
蒸し器の場合は少し蓋をずらすといいのだが、鍋のときは閉めておけばいいと祖母に教わった。
そして火加減には細心の注意を払う。
あまり高温になりすぎないようにするのがポイントだ。
中火から始めて弱火に落とし、火からおろして余熱で蒸らす。
「できたー」
これはなかなか上出来じゃない?
「茶碗蒸し……」
私と同じように鍋の中を覗き込んだ和花さんがなぜか顔をゆがめる。
あれっ、嫌い?
でも彼女も茶碗蒸しが食べたいと言っていたけど。