たしか庭番や風呂掃除、あとは大食いの――これは仕事じゃないけど――あやかしがいたはずだ。


「あー、吾郎たちか。アイツ、うるさいんだよな」


と言いつつ、彼の頬が緩んでいる。
うるさいけど楽しかったのかな。


「まあ、前向きに検討しよう」
「お願いします! あと、夕飯の献立のリクエストありますか? 私、勝手に作ってますけど、それぞれ食べたいものがあるのかなあって」


少し余裕も出てきたので、皆の好きなものも並べたい。


「食べたいものか……。茶碗蒸しだ」


彼はなぜか遠くに視線を送り、しみじみと言う。


「茶碗蒸しですか。わかりました」



翌日。私は鬼童丸さんたちにも好きな献立を聞いて回った。
すると、全員口をそろえて『茶碗蒸し』と即答するので驚いた。

前世の私の茶碗蒸しはそんなにおいしかったのかな……。

自分で聞いておいてなんだけど、これはプレッシャーだ。