「おぉ、河太郎来たか」


二階にいたらしい白蓮さんが下りてきて、なんと河太郎くんを軽々と抱っこしてしまった。

河太郎くんは目を見開いたあと、眉をハの字にしている。


「び、白蓮さん……」


怖がっていることを伝えようとしたが、白蓮さんは口を開いた。


「お前が来るのを待っていたぞ」


河太郎くんのためらいをわかっているくせに、白蓮さんはそのまま大広間に連れていってしまった。
そしていつもの席に座り、河太郎くんをそのまま膝に抱く。

河太郎くんは表情をこわばらせたまま微動だにしない。


「彩葉。今日はなんだ?」
「あっ、豆腐ドーナツです」


チラチラと河太郎くんの様子を伺いながら、座卓にドーナツを盛った皿を置いた。


「河太郎はいくつ食うんだ?」


小皿に取り分けている白蓮さんが尋ねたが、河太郎くんは口を真一文字に結び答えない。


「それじゃあ適当に取るぞ。とりあえず三つな」


勘介くんほど食いしん坊ではない彼は、多分ふたつも食べればお腹満タンなのに。

白蓮さんがなにを考えているのかわからない私は、緊張しながら隣の席に座った。