「あっ、しゃべった」


ちょっと、勘介くん!

勇気を出しただろう河太郎くんの心情を思えば、そこはさらりと流してほしかったところだが、素直すぎる勘介くんは黙っていられなかったようだ。

しかし私の心配をよそに、河太郎くんが初めて口角を上げて微笑んだ。


「今日は豆腐ドーナツに挑戦するよ。揚げ物だから危ないところは見ててね。和花さん、その分よろしく」


和花さんなら揚げ物でもできる。


「はい!」


ふたりの姉的立場の彼女は、少し誇らしげに返事をしている。


「勘介くんと河太郎くんは、手をきれいに洗ってからお豆腐を潰してくれる?」


私が指示を出すと、ふたりとも即座に動き始めた。

そして豆腐を手でつぶした河太郎くんが「おぉ」と声をあげて、勘介くんを見ている。
すると勘介くんはケラケラとおかしそうに笑った。

なんだかこの光景、最高だ。