尋ねると、ゴクンとわらび餅を飲み込んだ彼はまたうなずいた。
まだ声は聞けないけれど、意思の疎通ができたことに胸が躍る。
それから黙々と食べ進んだ彼だったが、完食したあと「おいしかった」と小さな声でたしかにつぶやいたので、鼻の奥がツーンとしてくる。
あきらめずに関わり続けてよかった。
皆の輪に入るのはまだ難しそうだけれど、彼は大きな一歩を踏み出したのだ。
翌日のおやつの時間にも河太郎くんを呼びに行こうとすると、なんと彼が自主的に台所に姿を現した。
「河太郎!」
いち早く彼の姿を見つけた勘介くんが、満面の笑みを浮かべて飛んでいく。
「僕も、一緒にやりたい」
消えそうなほど小さな声だったけれど、たしかに河太郎くんが勘介くんに言った。