「そのままかき混ぜるんだよ。底のほうからすくうように、こう」
河太郎くんの手を握り実践してみたが、彼は鍋の中に夢中で拒否しない。
「河太郎、うまいじゃん」
ナイスフォローだよ、勘介くん!
今日は多めにわらび餅をあげなくては。
さらにそのまま混ぜていくと、白濁していた餅が透明になり、より重くなる。
今度は河太郎くんが眉をハの字に曲げたので、「勘介くんやってみて」と助け船を出した。
すると力持ちの彼は、グイッグイッと混ぜ始める。
河太郎くんはその様子を身を乗り出して見つめていた。
「もういいかな。あとは冷ましてきな粉をつけるだけだよ」
ステンレスのバットがあるといいがここにはないので、大きな皿に出して氷の上に置く。
今度現世に買い出しにいくあやかしに、バットや泡だて器も頼もうと思っていると、勘介くんと河太郎くんが並んでわらび餅を見つめたまま離れない。