ふとそんなことを考えていると、隣の白蓮さんに肩をポンと叩かれ目配せされた。

私がなにを思っているのかお見通しなのかもしれない。


皿を下げに河太郎くんの部屋に向かうと、廊下の外に出してある。
いつもは下げるだけだが、私はもう一度声をかけることにした。


「河太郎くん。明日、わらび餅を作る前に来るね。もし手伝ってもいいなと思ったら出てきてくれるかな。それじゃあ、また夕食のときにね」


彼は顔を見せることもなかったけれど、私は勝手に期待していた。



そして翌日。
また勘介くんの腹時計に頼り、おそらく午後の三時前くらいに河太郎くんの部屋に向かった。

和花さんと勘介くんには台所で準備をしてもらっている。


「河太郎くん、彩葉です。おやつ作りどうかなぁ?」


私はドキドキしながら、扉が開くのを期待していた。
けれども、相変わらず物音ひとつせず、出てくる気配はない。