「そんなことか。その点は心配ない。彩葉がそばにいると力がみなぎると話しただろ? その結果、月の世は余計なちょっかいをかけてきづらい。つまり、陽の世も平和だということだ。つまらぬ小競り合いばかりで俺が手を出す必要もない」


彼は雪那さんを追い払って私の横に座り、鬼童丸さんの空になった器をじっと見ている。


「俺のいない隙にプリンを食べられて最高だな、鬼童丸」
「あはは」


さっきの会話が聞こえていたんだ。


「勘介は八つ裂きにされたいのだな」
「ゴホッ」


プリンを噴き出しそうになった勘介くんは、目を白黒させて白蓮さんを見ている。


「いつから聞こえていたんですか?」


鬼童丸さんが尋ねた。


「さあ? 俺が働いているのに、ずいぶん楽しそうだなと思っただけだ。鬼童丸。たっぷり仕事を請け負ってきたから、お前は出発だ。一緒に行ったあやかしたちに指示を出してある。実行部隊、ご苦労さん」