「お前は度胸があるのか、バカなのかどっちだ?」
「どうしてバカなんですか?」
「彩葉さまの作ったものをこっそり食べたなんて万が一にも知られたら、八つ裂きだぞ?」
「え!」


もともと丸い目をさらに丸くしている勘介くんは、一瞬食べるのをストップしたが食欲には敵わないらしくまた黙々と食べ始めた。


「やっぱり度胸ありそうだわ、お前」


鬼童丸さんはその様子を見てクスッと笑っている。


「白蓮さんは見回りですか?」
「はい。今日は隣の街まで足を延ばしていらっしゃいます。皆白蓮さまに会いたいと首を長くして待っているんですよ。困ったことを訴えると、できる限りお力を貸してくださいますからね。まあ、それに私や臣下が振り回されているのですが」


白蓮さんは街のあやかしの声に耳を傾け、対処方法を鬼童丸さんと相談をしてあとは彼に任せることが多い。

宿のすぐ下の別館に住んでいる臣下たちも、対応に駆り出されるとか。