慌てて否定したものの、そういうことになるのかも。
もっと彼を知りたいと無意識に感じているようだ。
「いい傾向だ。だが、鬼童丸とふたりきりで酌とは。気分が悪い」
「えっ、ふたりきりって……。まあ、そうですけど、そんな深い意味は……」
「当然だ。深い意味があったら鬼童丸をただじゃおかない」
そんなに怒らなくても。
「れ、冷酒を用意しますね。私はお茶でも飲もうかな」
私はさりげなくかわして台所に向かった。
これって、嫉妬っていうやつ?
冷酒を用意しながら呆然と考える。
こんな感情を向けられたのは初めてのことで戸惑うけれど、ちょっとうれしいかも。
それだけ大切に思われているという証拠なのだろうと考えると、くすぐったく感じた。