「……はい。胸が痛くなるようなお話でした」
唇を噛みしめると、彼は子供をあやすように私の頭を撫でる。
「なんでも背負うな。お前は昔からそうだ。他人の痛みに同調しすぎて苦しくなる」
前世の私のことはわからないけれど、河太郎くんの痛みに寄り添う誰かは必要だ。
「河太郎のことは……いろいろ手を尽くしてはみたが、なかなか難しくてな。なにもできないからといって、放り出すこともできない。アイツにはもう頼れる家族がいない」
彼は切なげな眼差しを私に向ける。
私も同じような境遇だからだろう。
「私には白蓮さんがいてくれますから大丈夫ですよ。鬼童丸さんも、勘介くんも和花さんも。あ、雪那さんも」
一応雪那さんも付け足したが、彼女との和解にはまだまだ時間がかかりそうだ。
って、私はなにもしてないのに、腑に落ちないけど。
「そうか」
私の返答を聞いた彼は、安心したように頬を緩めた。