私は素のふたりを見せてもらえたのかな。
……なんて呑気に考えている場合ではなかった。
「彩葉」
白蓮さんは私の隣にどさっと腰を下ろし、少し……いやかなり不貞腐れた表情を向ける。
「ずいぶん鬼童丸と仲がいいな」
「別にそういうわけじゃ……。勘介くんや和花さんともいいですよ?」
「勘介や和花はどうでもいい」
ピシャリと言われてなすすべもなし。
「あっ、白蓮さんもお酒を飲まれます? お風呂上がりですから冷酒がいいですか?」
私が立ち上がろうとすると、腕を引いて止められてしまった。
「逃げるな。なにを話していたんだ?」
「なにをって……。河太郎くんのことを聞いていたんです」
「河太郎?」
彼の声色が変わった。
「はい。食事を運んでも二コリともしないから気になって。しかもひとりで部屋に閉じこもっているのが心配だったんです」
「そうだったか。河太郎になにがあったのか、話は聞いたか?」