「どういうことだ?」


再び同じ質問を繰り返す白蓮さんは、怒っているの?


「どういうとは? 彩葉さまに酌をしていただいているだけですよ」
「はぁっ? 俺を差し置いて?」


白蓮さんの眉尻が上がる。
これはやはり怒っている。

鬼童丸さんが『彩葉さまのこととなると目の色がお変わりになる』と言っていたが、こういうことなのだとようやく理解した。

そういえば雪那さんもそうだもんね。


「あははは。子供みたいに拗ねていないで、彩葉さまにお願いされたらいいのに。彩葉さま、主がご機嫌ナナメのようですので私はこれで。残りは部屋でいただきます。ごちそうさまでした」


彼は先ほど『命を狙われないでしょうか?』と心配していたくせして、ちょっと挑発気味の言葉を残して去っていった。

あんなことは言っていたが、心を許し合った仲なのだろう。
他人の前では主従関係であることを崩さないが、ふたりきりだと違うのかもしれない。