「どうした?」
「私、先に死んじゃうんだなと思って」
「欲が出てきたな」
頬を緩める彼は、私の頭をポンと叩く。
「欲って?」
「もっと生きていたいという欲だ」
それを聞き、ハッとした。
祖母を亡くしてしばらく無気力だったことを知られている?
「心配いらない。もし彩葉が先に逝っても、また生まれ変わるのを待っている。何度でも、何度でも」
「あまりしつこいと嫌われますよ、白蓮さま」
鬼童丸さんが茶々を入れるが、私は胸が熱くなるのを感じていた。
もしかしたら……死んでしまう側より待っているほうがずっとつらいのかもしれない。
私には前世の記憶はなく、白蓮さんに会った日からがスタートだったが、彼は違うのだから。
しかも、何度でもそのつらい期間を乗り越えてくれるなんて、ありがたい言葉だ。
「この前、現世に行ったあやかしが、そういうしつこい者をストーカーと言うと教えてくれました」
「ストーカーって……」
和花さんの発言に噴きそうになった。