けれど、これがなかなか難しい。

だから暗くならないように大げさに笑ったり、おどけて見せることも数知れず。

今まではなんでもなくできていたのに、祖母の死まで上乗せになるとさすがにきつい。

一度こんなに心が痛いのにどうして笑っているのだろうという疑問が芽生えると、それを納得させる答えを見つけられなくなった。


「彩葉、おはよ」
「あっ、おはよ」


クラスメイトが私を見つけて挨拶をしてくる。

私はとっさに笑みを浮かべたが、顔が引きつっているのを感じていた。


「なんかお腹が……痛い、な……」


近寄ってきた彼女の前で、くさい演技を披露する。
我ながら大根だと思ったが、女優じゃないんだから仕方がない。


「ちょっ、大丈夫?」
「イタタタタ。食べすぎかな。ね、先生に腹痛で休みますって言っておいて!」
「わかった。お大事に……」


私は大げさにお腹を押さえてクルッと学校に背を向けて歩きだした。